研究課題
1.肺癌切除標本におけるMAGE-E1発現解析を行うに先立ち、まず数種の肺癌細胞株および正常肺繊維芽細胞、切除肺の凍結標本(病変部、正常部)より蛋白及びtotal RNAを抽出し、ウエスタンブロット法及びRT-PCR法にてMAGE-E1が癌腫により高発現する傾向にあることを確認した。2.その後、術前治療歴のない非小細胞肺癌完全切除症例200例のパラフィン切片に対し、我々が作成した抗MAGE-E1抗体を用いて免疫染色を行った。約6割の症例においてMAGE-E1は高発現しており、組織型では扁平上皮癌において腺癌よりも高発現していた。3.症例の性別、年齢、パフォーマンス・ステイタス、腫瘍の分化度、病理学的T因子、N因子などとの相関は認めなかった。4. MAGE-E1高発現群のproliferative indexの平均値は低発現群に比し明らかに高値であった。つまり増殖能の亢進した症例により高発現していた。5.p53の異常発現比率は、MAGE-E1低発現群よりも高発現群において高かった。6.術後生命予後とMAGE-E1の発現レベルの間に相関は認めなかった。現在その弛のアポトーシス関連因子や腫瘍増殖の関連因子においてもMAGE-E1の発現レベルとの相関の有無を検討しているところである。