研究概要 |
平成15年度、私たちはクロム肺癌切除材料(ホルマリン固定パラフィン包埋ブロック)のクロムの蓄積量を蛍光X線元素分析装置にて測定し、病変の異型度が高くなるに従ってクロム蓄積量は高くなることを示した。 平成16年度はクロム工場従事者から得た気管支鏡下生検材料からmicrodissection法にて病変部及び正常気管支部よりDNAを抽出し、(microsatellite instability)MSIや(loss of heterozygosity)LOHなどの遺伝子変化を生じているかを検討した。各気管支粘膜病変からmicrodissection法にてDNAを抽出する。正常の上皮として粘液腺上皮からmicrodissection法にてDNAを抽出する。6つのmicrosatellite marker(D3S647,D3S966,D3S1289,D5S404,D9S157,D11S904)のプライマー(5'末端を蛍光ラベル)を使用し、Taq DNA Polymeraseのモノクローナル抗体(Taq StartTM Antibody)を用いたHot Start PCR法にて増幅する。MSIとLOHを判定する。異型上皮異型上皮2例、扁平上皮化生7例のうち5例にreplication error(MSIが2個以上)を認めた。クロム肺癌切除材料および気管支鏡下生検材料(ホルマリン固定パラフィン包埋ブロック)において、蛍光X線元素分析装置は顕微鏡レベルでクロムの蓄積量を測定することが可能で、その分布をプロットすることができ、組織像と対比することができる。病変の異型度が高くなるに従ってクロム蓄積量も高くなる傾向を認めた。クロムの蓄積量とその部位の病変の遺伝子変化の関連を明らかにすることができる。
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