研究概要 |
1.基礎研究として、心拡張予防効果を得られかつ心拡張機能を障害しないNet状のデザインとすることを決定した。材料素材としてはゴアテックスを基本とし、厚さ1mmのゴアテックスシートで5mm幅のstripを作成し、3対のstripを放射状に縫合する。縫合部から2-3cm,4-6cm(,6-9cm)野位置に縫合部を中心とする同心円状にゴアテックスstripにて放射状となった3対のstripを固定する。心臓への被覆の仕方は、まずNetの中心部を心尖部に固定し,ついで左右房室問溝に対応する心膜部にNetを固定する。被覆の程度は、左室前負荷や左室圧-容量曲線の関係を見ながら至適な被覆程度を判定している。現時点でこの至適な被覆程度は確定していない。このような材料の強度や耐久性については、実験動物とヒトとの違いがあるため、判断は必ずしも容易ではないが、ゴアテックスstripは肺動脈バンディング手術などで、ゴアテックス糸は僧帽弁形成術に用いられ、その長期的な耐久性や強度が確認されているため、十分臨床応用が可能と判断しているが,臨床応用には更なる安全性と有効性の確認が必要と考えている。 2.臨床では、特に左室拡大を来した僧帽弁閉鎖不全患者に対して、弁置換術に際し後尖をアコーディオンカーテン状に折り畳む事により、左室の容量減少効果(internal myosplint effect)を期待する術式を採用しているが、これまでに6例を経験し、今後も症例を重ねて左室のremodelingを心エコー図上で検討する予定である。 3.狭小弁輪患者に対する各種の人工弁移植後の経時的な左室remodelingについて心エコー図を用いて評価検討中である。
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