研究概要 |
平成15年度は初年度であり,本研究の基盤となる循環シミュレータの整備拡張とそれを応用した人工臓器の性能評価および開発を行った.以下に項目に分けて記す. 1.循環シミュレータの整備拡張 循環シミュレータにおいて右心系も模擬可能な精度向上を目指してDCモータ駆動の拍動流ポンプを製作した.この新たに開発した拍動流ポンプにより循環シミュレータは心臓系における様々な病態の再現が可能となると考えられる.この成果は平成15年5月に開催された日本医工学治療学会の第19回学術大会で「模擬循環回路を用いた体外循環用ロータリーポンプの流量制御性能評価」として発表した. 2.ステントレス生体弁の性能評価 ステントレス生体弁は従来の生体弁と比較して,その耐久性や水力学特性から優位性が指摘されてきている.本年度は循環シミュレータを用いて,埋め込み術式による同弁の開放特性への影響を検討した.ステントレス生体弁としてはFreestyle^<【○!R】>弁(φ29mm)を試験対象とした.埋め込み術式のサブコロナリー法およびフルルート法をそれぞれ模擬するものとした.その結果,同弁位の順流方向の流量はサブコロナリー法を想定した条件下の方がフルルート法の場合より11%増加した.この結果から同弁の埋め込み法により水力学的特性に差が生じることが示唆された.この成果はBiocybernetics and Biomedical Engineering, Vol.23-2(2003)に"Evaluation of freestyle bioprosthesis behavior in mechanical circulatory system"の題目で論文として掲載された. 3、拡張型カニューラの開発 循環シミュレータを応用して補助循環等での使用を目的とした新規的な拡張型カニューラを開発した.このカニューラは「挿入管」という名称で特許出願(裏面参照)を行った 次年度はこれらの成果を基礎として,データベースの構築に関する基礎的検討を行っていく方針である.
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