研究課題
基盤研究(C)
肺癌の早期診断および高リスク群を選別するために非侵襲的な検体を用いることの可能性を検討することを研究目的とした。研究は2つのプロジェクトに大別され、一方は血液中のp16のメチル化の検出で、もう一方はサイトメトリーによる喀痰・口腔粘膜の解析である。(1)Real-time PCRを用いた非小細胞肺癌患者血清中のp16 methylationの検出(方法)非小細胞肺癌症例95名および非癌症例32名血清を用い検討した。採取した血液よりDNAを抽出後、p16のmethylation変異をreal-time PCRにより定量化し求めた。(結果)非小細胞肺癌症例のp16 methylation平均値は18.6±5.09、一方、非癌症例の平均値は1.26±0.87であり有意差が認められた。これによる感度は26.3%,特異度は93.8%,診断率は43.3%, positive predictive valueは92.6%であった。(2)正常細胞のサイトメトリー解析による肺癌リスク評価(方法)肺癌患者52例および正常人54例から得られた喀痰材料、および肺癌患者69例、正常人45例から得られた口腔粘膜の正常細胞を研究対象とし高性能細胞画像解析装置を用いたサイトメトリー解析により各細胞ごとに100種類の核微細構造を定量的に評価した。(結果)癌と正常各群から得られた正常細胞の特徴を明らかにするため統計解析を行い、10項目を組み合わせることにより両群を最適に鑑別しうることが明らかになった。この結果をもとに"被験者の正常細胞から肺癌の危険性をスコア化する"プログラムのテストセット作成を行いえた。このテストセットを用いて前向きの研究が可能となった。本研究により、非侵襲的に得られた検体を用いたバイオマイカー測定が肺癌の早期診断に応用可能であることが示唆された。
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