研究課題/領域番号 |
15591503
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
今村 洋二 関西医科大学, 医学部, 教授 (10118911)
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研究分担者 |
大迫 茂登彦 関西医科大学, 医学部, 助手 (90223784)
大谷 肇 関西医科大学, 医学部, 助教授 (60168979)
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キーワード | 心筋再生 / 骨髄細胞 / 骨髄細胞移植 / 心筋細胞 / 細胞分化 / Green fluorescence protein |
研究概要 |
(目的)我々はかねてより虚血性心疾患に対する自家骨髄細胞を用いた心筋再生に着目し、ブタの心筋梗塞モデルで自家骨髄単核球の有効性を検討してきた。その結果、虚血心筋に細胞移植した自家骨髄単核球が高率に内皮細胞へと分化することを認め、有意な血管新生作用のあることを見出した。しかし、この方法のみでは自家骨髄単核球を心筋細胞に分化させることは困難で、すでに心筋が壊死に陥った領域では血管新生のみで心機能を改善させることに限界のあることが判明した。そこで、我々はin vitroの実験系で骨髄幹細胞が心筋細胞に分化する機序を解明し、in vivoにフィードバックして心筋再生療法を確立すべく研究を行った。 (方法)Green fluorescence protein (GFP)発現ラットの骨髄細胞を単独、または新生児ラットから分離した心筋細胞と共培養した。培養5日目の接着細胞数をカウントし、細胞の表現型を各種細胞特異的タンパクに対する抗体を用いて免疫染色した。Insulin-like growth factor-I (IGF-I)を用いて細胞接着、分化におよぼす影響を観察した。 (結果)接着細胞数は共培養が単独培養に比して有意に多かった。IGF-Iは(0.10μg/ml)の範囲で濃度依存性に接着細胞数を増加させ、phosphatidylinositol-3 kinase (PI3K)の阻害剤であるwortmanninおよびLY294002はこれを抑制した。骨髄細胞は単独培養では心筋特異的マーカーであるα-sarcomeric actin、cardiac myosin、内皮マーカーであるvon Willebrand factorおよび平滑筋マーカーであるα-smooth muscle actinをそれぞれわずかに発現した。しかし、共培養下では約5%の骨髄由来細胞に著明な心筋特異的マーカーの発現を認め、一方、これらの細胞では内皮細胞マーカーと平滑筋細胞マーカーの発現は抑制された。 (結論)IGF-1はPI-3K依存性に骨髄由来細胞の増殖を促した。この効果は細胞接着の促進によると考えられた。また、IGF-1は共培養下において骨髄由来細胞の心筋細胞への分化を促進した。この効果もPI-3K依存性であった。以上の成績からIGF-IはPI3Kを介して骨髄細胞の心筋細胞への接着と心筋細胞への分化を促進することが示唆された。
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