研究課題/領域番号 |
15591503
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
今村 洋二 関西医科大学, 医学部, 教授 (10118911)
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研究分担者 |
大谷 肇 関西医科大学, 医学部, 助教授 (60168979)
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キーワード | 骨髄幹細胞 / Green fluorescence protein / phosphatidylinositol-3 kinase / 心筋梗塞 / 再生医療 |
研究概要 |
骨髄幹細胞の分化と増殖に関する機序を解明し、心筋再生療法の有効性と安全性を検討すべく実験を行った。まずGreen fluorescence protein発現ラットから採取した骨髄幹細胞を用いてin vitroにおいて分化と増殖に関るシグナルを検討した。その結果、骨髄幹細胞の接着にphosphatidylinositol-3 kinase (PI3K)が重要な役割を果たし、骨髄幹細胞の増殖に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。また、PI3Kの活性化は骨髄幹細胞のアポトーシスを抑制し、その生存にとっても重要であることが判明した。さらに、PI3Kは骨髄間葉系幹細胞のself-renewalに関っており、これを抑制すると骨芽細胞、平滑筋細胞や心筋細胞といった種々の間葉系細胞に分化することを発見した。次にラットの心筋梗塞モデルにおいて骨髄間葉系幹細胞移植の有効性と安全性を検討した。移植した骨髄間葉系幹細胞は心筋梗塞巣に集積し定着したが、それらのほとんどは1週間以内に死滅した。また、移植した骨髄間葉系幹細胞の大部分に骨芽細胞のマーカーであるosteocalcinの発現がみられ、これに伴って一部の心筋では石灰化が認められた。移植後1ヶ月で施行した超音波心エコーでは心機能の有意な改善は得られなかった。以上の結果から、現行の骨髄間葉系幹細胞移植法はその有効性が乏しいのみでなく、心筋の骨化を促して心機能に悪影響をおよぼす危険性が示唆された。一方、PI3Kを移植後も持続的に活性化させた骨髄問葉系幹細胞は生存率の向上と骨化抑制が期待され、骨髄間葉系幹細胞移植法に新たな展開をもたらすと考えられた。
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