研究概要 |
1)昨年度の実績に基づき、犬の頸動脈に形成した瘤に対して、キチンを脱アセチル化して作られたキトサンを瘤内に充填する実験を続け、瘤内充填物質としての有用性を検証した。紫外光は瘤口閉塞用のアシストバルーン内のファイバーを通して誘導することにより、瘤口部分からの照射が可能であった。固形化したキトサンに閉塞された瘤は、炎症反応は認められるものの、閉塞性は高く生体塞栓物質として瘤の治療に有用であることが確認された。(本研究については6th Asian-Pacific Conference on Medical and Biological Engineeringにて発表。成果をInterventional Neuroradiology 11(Suppl.2):95-100,2004に掲載) 2)上記光を用いた塞栓方法の展開の一つとして、瘤内軒室かを促進させるために温熱医療法を開発した。瘤内挿入したコイルに対して外部から電磁波を加えることによりコイルの温度を上昇させ、血栓化を促す方法である。犬に作成した実験的動脈瘤に対して行った結果では、十分な早期血栓化現象を認めた。(成果をInterventional Neuroradiology 10:203-211.2004に掲載) 3)瘤口をステントにて覆うための自己血管内皮カバードステントについては、コントロール群としてポリウレタン膜コーティングステントを3例の犬頸動脈に挿入し、2週間後に血栓形成を認めた。被膜上の血栓化を防止するための基礎実験として、ポリウレタンフィルム上に犬血管内皮細胞を播種することによる培養は成功し、回転移動にても剥離が少ないことが証明された。本年は流水内での回転培養を行った結果、ポリウレタン被膜に内皮細胞の規則性をもった生着が認められた。
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