研究課題/領域番号 |
15591521
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
泉本 修一 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40324769)
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研究分担者 |
貴島 晴彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10332743)
丸野 元彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (10263287)
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キーワード | 神経管細胞 / 悪性グリオーマ / 脳腫瘍 / 腫瘍増殖 / 腫瘍浸潤 / 神経前駆細胞 / グリオーマ / IL-12 |
研究概要 |
初年度は、神経幹細胞の分泌する因子が腫瘍細胞増殖抑制に働くことを培養細胞、および動物実験で明らかにした。すなわち、神経幹細胞はグリオーマの増殖に干渉するなんらかの生理活性物質を産生し、その細胞培養液(NSC/CM)中に存在することが明らかになった。本年は、NSC/CMのグリオーマ細胞に対する運動能の抑制に着目した。昨年度に引き続きNSC/CM存在下でBoyden Chamber法により種々のグリオーマ細胞を培養すると、いずれの細胞でもその運動能は有意に抑制されることを明らかになった。そこで、実際の脳環境に近い器官培養を応用した三次元構築脳組織培養モデル(brain slice culture)上でグリオーマ細胞の浸潤がNSC/CMにより干渉されるか否かを検討した。その結果、NSC/CM存在下で脳切片上でのグリオーマ細胞の拡散を観察することによりその運動能が抑制されていることが明らかになり、また脳切片内深部に細胞が浸潤する時間経過を共焦点レーザーで観測することによってグリオーマ細胞の浸潤能の抑制が証明された。またその浸潤抑制の時期は増殖抑制の時期より早期に誘導されることも明らかになった。NSC/CMをフィルターに通し分画に分けると、5万から10万MWLの分画にその浸潤抑制活性が残ることが明らかになり、その分画に、グリオーマの増殖、浸潤ともに抑制する多機能をもつ未知の因子があることを確認した。高圧クロマトグラフィーでの抽出精製はその分離精製を継続中である。 次に、神経幹細胞自身の作用だけでなく、その細胞が細胞増殖抑制因子の運搬担体となることを期待し、IL12発現ベクターを入手しIL12cDNAをGFP発現ベクターに組み込み、神経幹細胞にtransfectさせ、その発現が確認された。将来的にはex vivo遺伝子療法としての成果が期待できると考える。
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