研究課題/領域番号 |
15591522
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
江原 一雅 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20151996)
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研究分担者 |
甲村 英二 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30225388)
河村 淳史 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 医学研究員 (00346256)
篠山 隆司 神戸大学, 医学部附属病院, 臨床研究員 (10379399)
杉村 和朗 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00136384)
林 祥剛 神戸大学, 医学部, 教授 (50189669)
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キーワード | 脳腫瘍 / 放射線治療 / 重粒子線治療 / 遺伝子治療 / 血管新生 |
研究概要 |
血管内皮成長因子VEGFは、血管新生を促進させる最も代表的な因子であり、悪性腫瘍で高発現しており、悪性度と相関している。脳腫瘍の中でも最も悪性の悪性神経膠腫においてもVEGFは高発現していることが我々の手術標本の解析からも明らかであり、よって我々は数年前から"Anti-angiogenic therapy(血管新生阻止療法)"の臨床応用を目指して、基礎研究を行ってきた。今までにVEGFに伴う腫瘍血管新生を抑制すべく、VEGFのアンチセンス療法、VEGF受容体に特異的なチロシンキナーゼ阻害剤(SU5416)、VEGF受容体(Flk-1)のdominant negative mutantなどいくつかのストラテジーを試みてきた。いずれも動物実験では有効な血管新生抑制効果および腫瘍増殖抑制効果を確認し、その結果を学会等にて発表してきた。 VEGFのアンチセンスcDNAウイルスベクター(レトロウイルス)に組み込んだレトロウイルスベクターの細胞導入効率を上げるために、低温培養(34℃)と低速遠心による濃縮操作をすることで飛躍的に向上させることが出来た。このベクターをグリオーマ腫瘍細胞内に導入して、VEGFの発現量をRT-PCR, ELISAで検討すると、VEGFのmRNA,蛋白とも抑制されていた。 腫瘍血管の新生はこのVEGFのsiRNAで抑制されても、すでに存在する腫瘍血管に対しては殆ど影響を及ぼさないため、既存血管を破壊する他の治療法との併用が必要と思われる。その1つの方法として放射線照射の併用があるが、重粒子線治療や、ガンマナイフなどの定位的放射線治療は従来の放射線治療より、抗腫瘍効果が強いことは、私どもの頭蓋咽頭腫に関する治療成績の報告でも明らかになってきている。したがって、悪性神経膠腫の治療において私どもが研究成果をあげている血管新生阻止療法と、従来の放射線治療より生物学的効果の高い重粒子線と併用療法が有用と考えられる。
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