研究課題/領域番号 |
15591522
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
江原 一雅 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20151996)
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研究分担者 |
甲村 英二 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30225388)
河村 淳史 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 医学研究員 (00346256)
杉村 和朗 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00136384)
林 祥剛 神戸大学, 医学部, 教授 (50189669)
篠山 隆司 神戸大学, 医学部附属病院, 臨床研究員 (10379399)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | 脳腫瘍 / 放射線治療 / 血管新生 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
新たなVEGF阻害剤PTK787/ZK222548を用いてグリオーマに対する血管新生抑制効果、腫瘍増大阻止効果を検討した。ラットグリオーマ細胞C6をラットの脳内に移植し、PTK787/ZK222548での治療群と無治療群に分類し、MRIにて腫瘍増大を、免疫組織染色にてVEGFの発現、血管密度を検討した。結果は、PTK787/ZK222548治療群はコントロールに比べ腫瘍サイズの減少を認めた(36^-71%)。また、血管密度はPTK787/ZK222548治療群はコントロールに比べ著明に血管密度が減少していた(25.7^-42.3%)。そしてPTK787/ZK222548治療群の腫瘍内はコントロールと比較し、著明に壊死部位を認め、細胞増殖の指標となるPCNAも著明に低下していた。以上のことからVEGF阻害剤PTK787/ZK222548は強力にVEGFを阻害し、腫瘍増大阻止効果を示し、今後のグリオーマ治療に有用であることが示唆された。 ラバマイシンは免疫抑制剤として使用されている薬剤であるが、近年ラバマイシンが原発性、転移性腫瘍でのVEGFからのシグナルを阻害し、血管新生を抑制することが報告された。また、グリオーマ培養細胞にラバマイシンで処理するとVEGFの産生、分泌低下を認め、グリオーマ移植モデルにおいてもラバマイシンによって腫瘍細胞でのVEGFの産生低下を認めたとの報告がなされた。そこで、ラバマイシンのVEGF阻害作用が明らかとなってきたため、我々はラバマイシンでの抗グリオーマ作用について検討を開始した。まず、ラバマイシンをアルキル化剤ACNUと共に用いると、アポトーシス誘導作用が増強した.また、脳内に移植したヌードラットモデルを用いて、ラバマイシンの抗腫瘍効果を検討すると、ラバマイシン単独では無治療群と比較し、腫瘍増大は有意に抑制され、ラット生存期間は有意に延長した。さらにACNUと併用すると、ACNU単独に比較し、併用群では腫瘍の増大は有意に抑制され、生存期間も有意に延長した。以上よりラバマイシンも今後のグリオーマ治療に有用であることが示唆された。 一方、重粒子線治療や、ガンマナイフなどの定位的放射線治療は従来の放射線治療より、抗腫瘍効果が強いことは、私どもの頭蓋咽頭腫に関する治療成績の報告でも明らかになってきているが、悪性神経膠腫においては浸潤性が強く、放射線単独療法には限界がある。従って、悪性神経膠腫の治療において私どもが研究成果をあげている血管新生阻止療法と、重粒子線と併用療法が有用と考えられるが、今回の研究ではVEGF阻害剤のみの検討で、重粒子を併用する研究までには至らなかった。
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