研究概要 |
血栓を破砕するために1)微細な振動を発生する振動装置を作成し、その振動発生効果を検討、(2)血栓に対して血栓溶解剤である組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)投与と機械的刺激を追加した場合の血栓の破砕効果を検討した。 (1)振動子はアルミニウム製の梁にアクチュエータ及びセンサとして圧電素子を片面に貼付けた。入力信号はwaveform generatorによって正弦波およびパルス波電圧として圧電素子に加えられるようにした。電圧は高速電圧増幅装置によって50Vまで増幅されている。振動子の先端を溶液の水面から7mmの位置で加振した。この装置を用いて最も溶液に影響を与える入力信号を検討した。濃度の異なる溶液において圧電素子のインピーダンスを測定した。(2)血液2.5ccをセライト珪藻土を加えて血栓を作成し、tPAを単独に加えた場合と機械的刺激を付加した場合において破砕された溶液のヘマトクリット値を用いて相乗効果について解析した。 (1)試験溶液に最も影響を与える入力信号は共振周波数2.56kHzのデユーティ比50%の時であることが判明した。溶液の濃度を変化させると濃度が高くなるのに伴いインピーダンスは小さくなった(2)血栓の破砕はtPA単独投与に比べて、機械的刺激を負荷した方が溶液内のヘマトクリット値が高くなることが判明した。 以上の結果より、圧電素子による振動により,溶を攪拌することが可能であり、インピーダンスを計測することから溶液の粘度を測定可能なことが検証できた。また血栓の破砕には血栓溶解剤に加えて機械的刺激を負荷した方が破砕効果は高いと考えられた。血管内の血栓の破砕には微細な振動を加えることにより低侵襲的破砕効果を示す可能性があると推論された。
|