まず、正常ボランテア10例に対してacetazolamide負荷前10分、負荷後5分、15分、30分の脳血流量、および脳酸素代謝および脳酸素摂取率を測定し、それぞれの正常値を得た。acetazolamide負荷反応性は負荷後5分で急速に上昇し、15分でpeakとなり、30分後にはかなり低下することが判った。次に、脳主幹動脈閉塞性病変をもつ30例の患者の測定を行った。その結果、1)脳酸素代謝が正常かつ脳酸素摂取率が上昇している症例ではacetazolamide負荷5分後の脳血流量が負荷前値に比して低下していた(盗血現象)。しかし、15分後には上昇に転じていた。2)脳酸素代謝が低下かつ脳酸素摂取率が正常の症例では、負荷5分後から15分後にかけてゆっくりとした脳血流量の増加が認められ、15分後にpeakを示していた。これらは統計学的に有意であった。以上の結果から、日常臨床で脳血流測定が可能なSPECTのみを用いて、acetazolamide負荷後経時的に脳血流を測定することにより正確に脳酸素摂取率の上昇(貧困灌流)をとらえられることが示唆された。この結果をもとに、acetazolamide負荷後経時的に脳血流を精度良く測定する方法を開発すべく、脳血流SPECT用トレーサである99mTc-ECDを用いて非侵襲的簡便に経時的脳血流を測定する試みを行い、PETとの相関をみた。この結果99mTc-ECD SPECTのacetazolamide負荷5分後の脳血流の増加率はPETとよく相関し、精度良く脳酸素摂取率の上昇(貧困灌流)をとらえられることが判明した。
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