研究概要 |
罹患同胞対連鎖解析で、脳動脈瘤と最も強い連鎖を認めたマーカーD7S2472の近傍4.7Mbpを163個のSNPを用いて脳動脈を有さない対照160人において解析し、連鎖不平衡マッピングを作成した。ELN : elastin, LIMK1: LIM domain kinase 1,WBSCR1: Williams-Beuren syndrome chromosome region 1,WBSCR 5,RFC2: Replication factor C 2,CYLN2: cytoplasmic linker 2,GTF2IRD1: GTF2I repeat domain containing 1,WBSCR 23など、この近傍には、ウィリアムズ症候群(Williams-Beuren syndrome)に関係する遺伝子が多く存在する。ELNには連鎖不平衡が強い二つのブロックが存在し、ひとつはLIMK1とつながっている。隣のCYLN2にはひとつのブロックが、その隣のGTF2IRD1にもひとつブロックが存在する。脳動脈瘤の感受性遺伝子は、D7S2472近傍で、これらのブロック内に存在する可能性が高いと考えられた。我々がこれまでに報告してきたイントロン20と23のSNPはこれらのブロック内には存在しないため、このハプロタイプが脳動脈瘤のリスクである可能性は低くなった。これらの対照群と164人の家族歴のある脳動脈瘤患者でハプロタイプ解析・関連解析を行った。LIMK1とつながっているELNのブロック内に存在するイントロン31の2つと3'UNRのひとつのSNPのハプロタイプは、major-minor-majorアレルの割合が、対照で、9%、脳動脈瘤群で4%であり有意な差を認めた(x^2=7.957 p=0.007)。現在このブロックのSNPをさらに検索中である。
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