研究課題/領域番号 |
15591553
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山本 隆充 日本大学, 医学部, 助教授 (50158284)
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研究分担者 |
片山 容一 日本大学, 医学部, 教授 (00125048)
深谷 親 日本大学, 医学部, 講師 (50287637)
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キーワード | central pain / motor cortex / ketamine / drug challenge test |
研究概要 |
大脳皮質運動領刺激の電極留置部位を決定する方法としては、1)局所麻酔下に開頭を行い、刺激によってmotor twitchあるいはmotor contractionを誘発する部位を決定、2)グリッド電極を用いて、グリッドの刺激点から最適の刺激部位を決定する方法、などが行われてきた。これらの方法に比較してcorticospinal MEPを用いる方法を開発し、これまでの方法に比較して有効率が向上した。この方法の利点として、1)全例でD-waveを記録することができる、2)刺激点の微妙な移動によるD-waveの変化から真に最適な刺激部位を決定できる、3)テスト刺激に用いた刺激電極をそのまま留置電極として用いることができるので、テスト刺激の電極と留置電極の位置を完全に一致させることができる、4)実際に下行性の運動路が刺激された反応を指標として刺激部位を決定できる、5)通常の全身麻酔下に手術が可能、などがあげられる。 各種の難冶性疼痛に対する治療法の選択には、ドラッグチャレンジテストを用いて疼痛の薬理学的背景を明らかにするとともに、侵害受容性疼痛と求心路遮断痛の鑑別あるいは両者の合併であるのかを明らかにする必要がある。また、難冶性の疼痛を治療するためには、手術療法のみでは不十分な症例が数多く存在するので、薬物療法等を含めた総合的な治療が必要である。大脳皮質運動領刺激のみでは効果が不十分な症例に対して、NMDAレセプターのブロッカーであるケタミンの点滴療法を併用することにより、大脳皮質運動領刺激の効果を高めることができた。われわれが検討した中枢性疼痛102例に対する検討では、ketamine-sensitiveな症例が41%存在し、かなりの数の中枢性疼痛患者に利用することが可能と考えられた。 大脳皮質運動領刺激の効果は、運動機能の障害が強い症例に比較して運動機能の保たれている症例に有効例が多く、大脳皮質や脳幹レベルでの痛み抑制に加えて、脊髄後角内で侵害受容ニューロンを抑制する機序が考えられる。
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