研究概要 |
局所脳虚血ラットモデルを用いたCOX-2の発現と脳循環代謝・神経受容体機能との関連に関する研究 【目的】虚血持続時間とcyclooxygenase-2(COX-2)発現、prostaglandin(PG)産生、中枢性benzodiazepine receptorであるiomazenil (IMZ)分布との関連を比較検討する。 【方法】SDラットを麻酔後、右総頸動脈よりナイロン糸を挿入、右中大脳動脈(MCA)の血流を遮断した。虚血時間は、0,1,2,3,4,6,8,12,24時間(各群4〜5匹、計38匹)で、^<125>I-IMPと^<123>I-IMZの2核種autoradiography法にて、脳血流量(CBF)とIMZ分布を評価した。脳皮質血流量(CBF)とCOX-2(mRNA、蛋白)発現、prostaglandin(PG,enzyme immunoassay法)産生量を測定した。脳組織でのdeoxy-uridine-5'-triphosphate(dUTP)によるDNA断端化の検出とmicrotuble associated protein 2 (MAP-2)の免疫染色を行った。CBFは対側比、COX-2発現量、PG産生量は非閉塞群の平均値に対する比として求めた。 【結果】平均CBFは、虚血周辺部0.67、中心部0.19であった。虚血後のIMZ分布はMCA領域で低下したが、全ての虚血時間でCBF低下領域の方が広範であった。IMZ分布の保たれた血流低下領域の一部でCOX2発現が認められた。この領域には、dUTP陽性、MAP2陰性細胞を認めなかった。dUTP陽性、MAP2陰性細胞はIMZ低下領域でのみ観察された。COX-2mRNAは、虚血前に比べて、周辺部では虚血2時間で有意に上昇、8時間で頂値(51.0)、中心部では6時間で有意に上昇、12時間で頂値(16.5)、その後いずれも24時間まで有意な高値が持続した。COX-2蛋白は神経細胞に発現しており、周辺部では経時的に漸増、中心部ではほぼ横ばいであった。PGE_2,6-keto PGF1αは虚血中心部、周辺部ともに24時間で有意に増加、特に周辺部のPGE_2増加が著しかった(発現比43)。 【結論】COX-2誘導とPG産生は虚血の程度に依存した。神経受容体機能測定は、neuronal viabilityのマーカーとなりうる。
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