研究課題/領域番号 |
15591559
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
横田 千晶 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室員 (80300979)
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研究分担者 |
久下 裕司 京都大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (70321958)
井上 裕康 奈良女子大学, 生活環境学部・生活環境学科, 教授 (40183743)
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キーワード | Cyclooxygenase-2 / Spreading depression / Rat / MAPK phosphatase / S100A9 / JTE-522 / Prostaglandin |
研究概要 |
ラットspreading depression(SD)モデルに対する選択的cyclooxygenase-2(COX-2)阻害薬投与下でのCOX-2誘導とSD関連遺伝子発現に関する研究 【背景と目的】Cyclooxygenase-2(COX-2)は、脳梗塞患者の剖検結果より、虚血側だけでなく、脳全体に誘導されていたと報告されている。病巣部の遠隔領域におけるCOX-2誘導には、脳虚血病態の1つと考えられているspreading depression(SD)が関連すると推測されているが、詳細は不明である。そこで、ラット全脳における、SD誘発下でのCOX-2誘導と遺伝子発現の変化を調べた。 【方法】雄性SDラットを用いて、コントロール群(I群、n=7)、SD誘発群(II群、n=9)、選択的COX-2阻害薬JTE-522前投与下SD誘発群(III群、n=7)を作成した。脳皮質へのKCl滴下によるSD誘発を行い、I群にはNaClを滴下した。JTE-522前投与は、KCl滴下3時間前に行った。NaCl(KCl)滴下2時間後、脳組織を摘出した。 【結果】SD平均発生回数は、II、III群に有意差はなかった(4.7回/3.6回)。Microarray analysis(10,0600遺伝子を対象)によりSD関連遺伝子としてMAPK phosphatase(cpg21)とS100A9遺伝子がスクリーニングされた。cpg21、S100A9、COX-2に対してRT-PCRを行った結果、I群に対してII群では、COX-2、cpg21遺伝子はSD誘発側皮質のみ、S100A9遺伝子は両側性にup-regulationされた。JTE投与により、両側性のS100A9遺伝子のみ有意に発現が抑制され、両側のPGE_2産生(Enzyme immunoassay法)も有意に低下した。 【結論】SD誘発2時間後、SD誘発反対側ではCOX-2遺伝子はup-regulateされなかった。SD誘発により、両側性にup-regulationが見られた遺伝子にS100A9遺伝子があり、この両側性発現は、選択的COX-2阻害薬JTE-522投与によるCOX-2活性の抑制により、有意に抑制された。すなわち、SD関連遺伝子であるS100A9遺伝子の発現調節には、プロスタグランジン生成が関連していると考えられた。
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