研究概要 |
腫瘍性骨軟化症を呈する腫瘍は間葉系腫瘍が多い。組織型は多様であり組織診断に難渋することが多い。これまでの報告では血管外皮腫、血管腫、巨細胞腫、巨細胞修復性肉芽腫、非骨化性線維腫 骨芽細胞腫があり教科書的記載に一致しない非典型例が多い。細胞培養のためヌードマウス移植した腫瘍は生着せず細胞株樹立には至らなかった。摘出した腫瘍の組織学的検索を徹底的に行った。腫瘍は、弱好酸性の胞体を有する小型の類円形から紡錘形の細胞より構成されていた。間質が粘液腫状、軟骨様を呈する個所がみられた。Staghorn状の屈曲した血管の周囲に腫瘍細胞が増生した血管外皮腫様の個所も散見された。石灰化物様構造物もみられた。細胞密度は高く核の不整もみられた。細胞分裂も散見された。免疫染色ではVimentin(+)、CD34(-)CD31(-)HHF-35一部(+)α-SMA一部(+)S-100(-)Cytokeratin(-)(AE1/AE3)EMA(-)でKi67陽性率は6〜7%であった。肺転移巣も血管周皮腫様の配列と好塩基性の石灰化様物質の沈着がめだち、原発腫瘍と同様の組織像を呈していた。RT-PCRでFGF23,OPN(オステオポンチン),Dentin matrix protein 1(DMP1), Matrix extracellular phosphoglycoprotein(MEPE), Phexのバンドが確認された。肺転移病巣もDMP1の発現を確認した。病理切片に対するfibroblast growth factor(FGF23)の免疫染色は難しいことが知られている。腫瘍性骨軟化症の病理組織型には、良性から悪性まで様々な組織像を呈するものが存在するが、共通してFGF23を過剰に発現するために同様な骨軟化症という症状を引き起こすと考えられる。多彩な組織像を呈するという形態学的診断の困難さから考えて本症の病理診断には、DMP1免疫染色が有用と考えられた。
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