研究課題/領域番号 |
15591572
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
清水 富永 信州大学, 医学部, 講師 (40283270)
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研究分担者 |
脇谷 滋之 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (70243243)
二階堂 敏雄 信州大学, 医学部, 教授 (50180568)
角谷 眞澄 信州大学, 医学部, 教授 (40115225)
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キーワード | 電気化学療法 / electrochemotherapy / drug delivety system / 抗腫瘍剤 / sonoporation / 電極 / 関節炎 / メトトレキサート |
研究概要 |
A.坦癌マウスおよび家兎の腹腔内に抗腫瘍剤を投与した後に、腫瘍塊の両端に電極を設置してエレクトロポレーター(CUY-21)を用いて電気刺激を加え、腫瘍の3次元的な組織標本から、腫瘍細胞の壊死した範囲を組織学的に調査した。これにより、2つの電極で壊死させることのできる範囲を求めることができた。電極を複数本刺入して交互に電気刺激を加えることで、2本の電極で治療効果が不十分であったところに効率よく治療が可能となった。 B.効率よいDDSのひとつとして電気化学療法に着目しているが、電気刺激より低侵襲の超音波刺激を利用した薬剤導入法も検討した。これは電気刺激・超音波刺激ともに細胞外からエネルギーを加えて、細胞膜に小孔をあけて薬剤を導入する方法である。まず、細胞移行しにくい抗腫瘍剤であり抗リウマチ剤であるメトトレキサート(蛍光標識をつけた)を、培養滑膜細胞の上清に入れて超音波刺激を加えることで、メトトレキサートの細胞内導入が起こることを確認した。次いでウサギに実験的に作成した関節滑膜炎に対して、メトトレキサートを関節内に注入して、関節外から超音波刺激を加え関節炎の変化を組織学的に調べた。薬剤+超音波刺激群では明らかに関節炎が軽快しており、超音波刺激の有用性が明らかになった。この超音波刺激を加える際に超音波造影剤を混入させることで、泡沫状の超音波造影剤が超音波刺激ではじけることで周囲に層流を生じさせ、その結果、細胞膜に小孔が開き細胞内により効率的に導入されることが明らかになった。超音波刺激法はより副作用が少なく侵襲が少なくいい方法と考えられた。腫瘍の治療に対するDDSとして、超音波刺激を併用した化学療法の応用を行っている。
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