(1)SOX9遺伝子をマウス骨髄細胞に導入し高密度培養したところ、アルシアンブルー染色陽性の軟骨細胞様細胞に分化し、II型コラーゲン、アグリカンなどの軟骨基質タンパクを発現した。それら遺伝子導入細胞をdiffusion chamberに封入しヌードマウスに移植したところ、4週後には軟骨様組織塊を形成した。その組織では、細胞外基質はアルシアンブルー染色陽性で、II型コラーゲンの免疫組織染色も陽性であったが、X型コラーゲンでの染色性は認めず、硝子軟骨様組織であった。 (2)骨芽細胞への分化誘導をかけたラット培養骨髄細胞は、アルカリフォスファターゼ、オステオカルシンの活性およびそれぞれのmRNAの発現が上昇していた。しかし、継代が進むにつれて骨芽細胞への分化能は低下した。それら細胞をdiffusion chamberに封入してヌードマウスに移植したところ、P0〜P2までの培養骨髄細胞では良好な骨軟骨形成を認めたが、P3の細胞では骨軟骨組織は形成されなかった。 (3)11例20肢に骨髄細胞および多血小板血漿の移植を併用した仮骨延長術を施行し、そのうち治療が終了したのは5例8肢の成績を検討した。移植した培養骨髄細胞は、平均2.5×10^7個(1.4×10^7〜5.0×10^7個)で、すべてP3であった。アルカリフォスファターゼ活性はP1でピークを示したが、P3細胞でも保たれていた。精製後の多血小板血漿における血小板濃度は、静脈血清中のものの約7倍に濃縮されていた。延長量は平均8.3cm、延長期間は平均77日、骨成熟待機期間は平均102日、Healing Indexは平均24.0日/cmであった。軟骨無形成症例において従来の仮骨延長術と比較したところ、Healing Indexは従来法の37.1日/cmに対し、骨髄細胞移植併用では21.3日/cmであり、本法の併用により治療期間は著しく短縮した。
|