研究概要 |
[目的]我々は骨髄から血管内皮細胞のpopulationを含む骨髄単核細胞(BMMNC)を採取し,血管新生因子であるbFGFを徐放化させたbFGFgelatin microspheresを加えて兎の大腿骨に作成した骨欠損に移植し,その血管新生と後に続く骨形成を調査した。 [方法]日本白色家兎の腸骨からBMMNCをFicoll法で分離した。兎の大腿骨顆部に直径6mm深さ7mmの骨欠損を作製した。同欠損部に充填したCol, Col+BMMNC(5×10^6 cells),Col+bFGF(10μg),Col+BMMNC+bFGFの4群を作製し,術後2,4,8Wで屠殺し血管新生と骨新生を評価した。血管新生はSmooth musle actin染色を用い新生血管密度を計測、骨新生はHE染色にて新生骨密度を計測した。 [結果]移植後2週においてCol+bFGFとCol+BMMNC+bFGF群は他の2群と比較して有意に新生血管密度を増加させていた。移植前に蛍光標識されたBMMNCは移植後2週において血管内皮様細胞に分化していることが確認された。移植後8WではCol+BMMNC+bFGF群では他の群と比較して明らかに骨形成を促進していた。 [考察および結論]bFGFgelatin microspheresとBMMNCとの併用は,骨髄内の血管新生と骨形成を促進した。本研究は骨髄内の阻血性変化に対する骨髄内血管新生の獲得の可能性を示しており、大腿骨頭壊死症などの骨髄の虚血性疾患に対する新しい治療法として期待できる。
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