研究概要 |
[目的]今回の研究の月的は、骨髄単核球細胞をアテロコラーゲンゲル内で3次元培養し,in vitroで血管内皮細胞の特徴をもつ細胞に分化しうるか、自己骨髄単核球細胞もしくはbFGFゼラチン粒子の骨髄内への移植により,血管新生を増強させ骨新成を促進しうるかをin vivoで検討しました。 [方法]成熟日本白色家兎の腸骨より骨髄液5ccを採取し,Ficoll比重遠心分離法にて骨髄単核球細胞を分離しアテロコラーゲンゲルと混和します。その形態を保ったまま24 well dishで血管内皮細胞増殖培地(EGM-2MV)とともに4週間3次元培養しました。評価ですが血管内皮細胞の特徴のひとつであるUlex europaeus agglutinin-1(UEA-1) and acetylated low-density lipoprotein(acLDL)の取り込み能を蛍光顕微鏡で、血管内皮細胞に比較的特徴的な抗原であるCD31,CD34と壁細胞の抗原であるSmooth muscle actin(SMA)の免疫組織化学染色で検討しました。次に兎の大腿骨顆部に直径6mm深さ7mmの骨欠損を作製した。同欠損部に充填したCol,Col+BMMNC(5×10^6 cells),Col+bFGF(10μg),Col+BMMNC+bFGFの4群を作製し,術後2,4,8Wで屠殺し血管新生と骨新生を評価した。血管新生はSmooth musle actin染色を用い新生血管密度を計測、骨新生はHE染色にて新生骨密度を計測した。 [結果]移植後2週の400倍連続切片にて、蛍光標識して移植された細胞が血管内皮細胞の比較的特徴的であるCD31に陽性に染まる細胞に分化していました。移植後2週での新生血管密度は、Col+bFGF(10μg)で他の2群と比較して、Col+BMMNC+bFGFでその他の3群と比較して有意に増加していました。移植後4・8週での移植部における新生骨密度の検討では、移植後4週での新生骨密度は4群間に明らかな差を認めませんでした。しかし移植後8週ではCol+BMMNC+bFGFで明らかな新生骨密度の増加を認めました。 [考察および結論]bFGFgelatin microspheresとBMMNCとの併用は,骨髄内の血管新生と骨形成を促進した。本研究は骨髄内の阻血性変化に対する骨髄内血管新生の獲得の可能性を示しており、大腿骨頭壊死症などの骨髄の虚血性疾患に対する新しい治療法として期待できる。
|