研究概要 |
加齢による骨量減少は骨形成能の低下によって起こると考えられている。我々は、6週齢(若年群)と24週齢(高齢群)のメスWistarラットを用いて骨芽細胞の増殖能・分化能・自己複製能の検討を行った。骨芽細胞は腰椎より分離培養したものを用いて、これをalpha-minimal essential medium (alpha-MEM)+10% fetal bovine serum (FBS)+50microg/ml ascorbic acidの培養液で培養し、骨芽細胞の増殖、分化を促進するホルモンのdexamethasone (Dex)もしくはprogesterone (Prog)の影響を検討した。細胞増殖曲線は若年群と高齢群で有意な差は認めず、細胞のdoubling timeは、それぞれ28時間、27時間であった。それぞれの骨系性能(colony forming units-osteoblast, CFU-O)をみてみると、10 nM Dexもしくは10 microM Progの存在下で若年群と高齢群の2群間に有意な差は認められなかった。さらには、colony forming units-fibroblast (CFU-F)、alkaline phosphatase-positive colony forming units-fibroblast (AP+CFU-F)にも若年群と高齢群の2群間に有意な差は認められなかった。しかしながら、継代培養を繰り返してその自己複製能力をみてみると、若年群では3代継代培養まで保たれるのに、高齢群では2代継代培養で骨形成能力が失われ、2群間で有意な差を認めた。これらの結果より、加齢による骨形成能の低下は、骨芽細胞の骨形成能低下や細胞数の減少によるものではなく、細胞の自己複製能力の低下によるものであることが示唆された。
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