研究課題
重篤な外傷や悪性腫瘍の摘出、人工関節のリビジョン、骨感染症等で生じる広範な骨欠損に対する治療法として遺伝子治療の応用が期待されている。しかし従来からのアデノウィルスやレトロウィルスを用いた発現系は種々の問題が指摘されており、今後免疫原性やゲノム組み込みがなく、繰り返し投与が可能で、かつ高効率に導入可能な細胞遺伝子治療遺伝子導入方法の開発が望まれている。本研究課題で我々は、最新の電気的遺伝子導入システム「Nucleofector」もしくはHVJ-エンベロープベクター法で従来のアデノウィルス系に匹敵する治療効果が得られるかどうかを調べた。まず新生児マウス皮膚を細切し、培養ディッシュ上で線維芽細胞を遊離培養した。これに対し石原産業から供与されるセンダイウィルスを不活化させたHVJ-エンベロープベクター法を用い、EBV-ori/EBNAを組み込んだLacZの発現ベクターの遺伝子導入効率の至適化実験を行った。またNucleofectorを用いた最適パルス条件を検討した。アデノウィルス発現系と比較するといずれも50%前後の確立で導入可能であることが確認できた。そこでマウス頭蓋骨骨欠損部への移植実験を行った。デルママンチを用いて、一側のマウス頭頂骨に径4mmの円形の骨欠損部を作成し、BMP-2を組み込んだプラスミドを上記方法で遺伝子導入した線維芽細胞を吸収性スキャフォールドであるPGSに付着させた後、移植した。現在経時的な骨再生過程をレ線学的、組織学的に追跡中である。
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