研究課題
重篤な外傷や悪性腫瘍の摘出、骨感染症等で生じる広範な骨欠損に対する治療法は難渋することが多いが、近年、骨再生を促進する因子の臨床応用が期待されている。しかし現実には従来の遺伝子導入法には免疫反応や発ガン性など種々の問題点を含有することが明らかになってきた。そこで我々は免疫原性やゲノム組み込みがなく、繰り返し投与が可能で、かつ高効率に導入可能な細胞遺伝子の可能性について模索してきた。そのためにまずアデノウィルスを用いて線維芽細胞にBMP-2を持続的に発現させてやることで移植細胞のみならず、宿主由来の非骨原性細胞を骨芽細胞に誘導せしめることが可能であり、かつ自然治癒不可能な骨欠損部の修復に応用可能であることを見い出した。また、実際に臨床応用可能な遺伝子デリバリーシステムを開発するため、最新の電気的遺伝子導入システム「Nucleofector」で従来のアデノウイルス系に匹敵する治療効果が得られるかどうかを判定した。このシステムは最近開発されたもので、厳密なパルス波制御と特殊な緩衝液で、目的遺伝子をプラスミドの状態で核内に高発現させることが可能である。LacZ発現ベクターをマウス線維芽細胞に同システムで遺伝子導入し、3日後にLacZ染色を行ったところ、80%以上の高効率で導入されることが判明した。我々の考案しているシステムは線維芽細胞を用いる細胞遺伝子治療であり、この線維芽細胞は皮膚から比較的容易に採取でき、かつ大量に増幅可能である。骨形成促進因子BMP-2を持続発現させてやれば、一部は骨芽細胞は骨細胞にトランスディファレーション可能であり、骨修復効果も期待できる。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
J Biol Chem. (印刷中)
Arthritis Res Ther. 6・4
ページ: 347-354
Orthop Sci 9・5
ページ: 478-487
Hum Pathol. 36・2
ページ: 150-158
Cell Tissue Res 317・3
ページ: 237-246
J Orthop Sci. 9・5
ページ: 503-508