研究課題/領域番号 |
15591593
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
吉田 幸一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (60117653)
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研究分担者 |
和田 卓郎 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (00244369)
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キーワード | 肉腫 / モデルマウス / テロメラーゼ / 融合がん遺伝子 / Cre-loxP DNA組み換え / トランスジェニックマウス / EWS / ETS |
研究概要 |
Ewing肉腫や末梢性の神経外胚葉性腫瘍(PNET)は固形癌の少ない思春期に好発し、骨および骨外性の軟部組織に発生する難治性の腫瘍である。これらの症例の95%以上に特徴的な染色体転座が認められ、RNA結合蛋白(EWS : Ewing sarcoma)とETS(E twenty six)転写因子が融合した融合転写因子が明らかになった。本研究は、マウスにおいて外来遺伝子を組織特異的に発現させる技術を利用し、融合遺伝子をEwing肉腫やPNETの母地組織と考えられる神経堤に発現させる着想である。これにより肉腫を発生するモデルマウスを分離し、Ewing肉腫やPNETの発生機序を生体内で解析する意図である。EWS-FLI遺伝子を導入したTgマウスを作製するために、遺伝子導入用のpCAG-CAT-X-polyAカセットにflagタグ付きEWS-FLI cDNAを挿入した。現在、受精卵にDNAを注入し誕生した子マウスをスクリーニングし、Tgマウスの分離を実施している。一方で、我々は培養細胞に対する遺伝子導入によって、融合転写因子の新たな標的として、テロメラーゼ遺伝子を同定した。融合遺伝子をNIH3T3細胞に導入すると、細胞が足場非依存性に増え始めてテロメラーゼの発現や活性が顕著に促進された。逆に、RNAi干渉法を用いて融合遺伝子の働きを特異的に阻害すると、テロメラーゼの発現と活性が著しく低下した。テロメラーゼ遺伝子の活性化は転写レベルで起こり、融合転写因子と転写共役因子の協調が示唆された。
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