研究課題
骨形成誘導サイトカインであるBMPは生理活性物質でありその遺伝子発現の調節によってその活性が制御されていると考えられる。PDE阻害剤であるペントキシフィリンによるBMP作用増強は、in vivo、in vitroで明らかにできたが、その作用機序はいまだに明らかでない。今のところ、骨芽細胞に分化しうるST2では、ペントキシフィリンの単独投与により細胞内cAMP濃度は上昇するが、骨分化の指標となるALPは上昇せず、BMPの存在下で切めてペントキシフィリンはALPの上昇をもたらす事がわかった。またそのペントキシフィリンによるBMP作用の増強はPKA阻害剤の存在で抑制されることもわかった。これに対し、間葉系細胞である10T1/2ではST2と同様にペントキシフィリンによりBMP作用は増強されるが、PKA阻害剤の存在下でもこの増強効果は抑制されなかった。つまりST2においてはペントキシフィリンはPKAを介してBMP作用を増強しているが、10T1/2においてはPKAを介さないと考えられ、細胞の時期によってシグナル伝達の系が異なる事がわかった。またMAPK系のp38の阻害剤であるSB203580を用いたところ、両方の細胞でペントキシフィリンによるBMP作用増強の抑制が観察でき、ともにp38を介していると考えられた。現在、ALP以外の骨マーカーとしてRanx2、Osterixの誘導を確認しており、BMP binding elementであるId-1の発現についても研究中である。また、ペントキシフィリンによるSmad系への影響も考えられ、現在各々のRNAについて定量的に研究中である。
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