研究概要 |
1.ラット胎児血由来未分化間葉系細胞の増殖能を評価するため、doubling timeを計測した。また妊娠19週の胎児の胎児血にもっともこの細胞が含まれるが、その数は1胎児あたり1コロニーであることが示された。 2.ラット胎児血由来未分化間葉系細胞はウシ胎児血清を含まない培地で培養しても脂肪細胞様細胞に自動分化したことから、この細胞の自動分化能は胎児血清に含まれる因子によらないものであることが示された。 3.臍帯血由来未分化間葉系細胞を骨軟骨折の修復に用いるためには、細胞の増殖分化の足場となるscaffoldが必要となる。そのため、今回我々は、II型コラーゲンスポンジを開発し、II型コラーゲンスポンジを用いた培養が脱分化軟骨細胞の再分化に対する影響を検討した。 6週齢Wistar ratの肋軟骨より酵素処理で採取した軟骨細胞を、DMEM(10%FBS, L-ascorbic acid含有)を用いて1週間単層培養したものをP0、3週間継代培養したものをP1とし、7週間継代培養したものをP3とした。1x10^6細胞個のP1をスポンジ内に播種し、4週間培養したものをP1rとした。P1rのCOL10A1,Aggrecanの遺伝子発現はP1,P3と比較し増加したが、P1rのCOL2A1,SOX9の遺伝子発現はP1,P3と比較し低下した。脱分化軟骨細胞は再分化の方向に導かれたが、COL2A1遺伝子発現の低下を認め、完全な再分化を生じていないと考えられた。今後このII型コラーゲンスポンジが臍帯血由来未分化間葉系細胞の骨芽細胞様細胞や軟骨細胞葉細胞への自動分化能に与える影響を評価する予定である。
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