研究概要 |
1.ラット胎児血より未分化間葉系細胞を単離する方法を確立した。この未分化間葉系細胞は、特殊な分化因子や培養環境を用いることなく骨芽細胞様細胞と軟骨細胞様細胞に分化することを確認した。また胎児血の至適な採取時期を決定した。またラット胎児血由来未分化間葉系細胞の増殖能を評価するため、doubling timeを計測した。 2.type II procollagen遺伝子発現には、成熟軟骨細が発現するtype IIBと軟骨に分化する以前の細胞が発現するtype IIAが存在する。胎児血由来未分化間葉系細胞より分化した軟骨細胞様細胞は、肋軟骨より単離した成熟軟骨細胞と比較しtype IIAの発現が増強しており、より未分化な細胞と考えられた。 3.ラット胎児血由来未分化間葉系細胞は、培養を継続することでCOL2A1,COL10A1,COL11A2の遺伝子発現が増強し、type IIAの遺伝子発現が減少していた。継続培養によって比較的未分化な軟骨細胞様細胞がより成熟したものと考えられた。 4.ラット胎児血由来未分化間葉系細胞を継代培養し、細胞の自動分化能を評価した。骨軟骨細胞への自動分化能が低下することが示された。 5.ラット胎児血由来未分化間葉系細胞の凍結保存を行った。通常の細胞保存液に細胞を混濁し保存した後解凍して培養したところ、特殊な分化因子や培養環境を用いることなく骨芽細胞様細胞と軟骨細胞様細胞に分化することを確認した。凍結保存を行っても、その自動分化能は維持されることが示された。 6.ラット胎児血由来未分化間葉系細胞はウシ胎児血清を含まない培地で培養しても脂肪細胞様細胞に自動分化したことから、この細胞の自動分化能は胎児血清に含まれる因子によらないものであることが示された。 7.臍帯血由来未分化間葉系細胞を骨軟骨折の修復に用いるためには、細胞の増殖分化の足場となるscaffoldが必要となる。そのため、今回我々は、II型コラーゲンスポンジを開発し、II型コラーゲンスポンジを用いた培養が脱分化軟骨細胞の再分化に対する影響を検討した。
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