研究概要 |
1)生体関節力学機能解析ロボットシステムの開発 生体関節力学試験用ロボットシステムの開発のため,既設の6軸アクチュエータ(現有設備)を用い,6軸力センサの信号を取り込むハードウエア及びソフトウエアを構築し,生体関節と人工関節の3次元的な力学挙動を調べることの可能なロボットシステムを開発した. 試験関節とロボットシステムの位置関係を求めるために,レーザー式デジタイザーを開発し,骨の特徴点をデジタイズして,両者に固定された座標系の相対的な位置・姿勢関係を求める手法を開発した.ロボットシステムをスレーブ状態にしてレーザースポットを合わせるだけでデジタイズできる仕組みとした. 制御システムの構築においてOSにリアルタイムリナックスを使用する予定であったが,ライセンスの問題が生じたため,リアルタイムリナックスと同種で,Windowsとの互換性の高いKNOPPIXを搭載したコンピュータシステムを開発した.軸のトルク制御を10msec以下で繰り返す,クローズド制御ループを持った制御ソフトウエアを開発した.さらに,力制御をベースとした位置制御を開発し,各軸に対して位置制御と力制御のどちらかを選択できる,位置/力のハイブリッド制御機構を構築した.これらのソフトウエアの開発にあたって,関節の機構記述あるいは力関係の記述については,本研究代表者の過去の論文を参考にした. 2)関節力学試験 ロボットシステムを用いてイヌ膝関節,ブタ膝関節の力学試験を行い,システムの性能を評価した.力学試験として,他動的屈曲動作,回旋動作,前方引き出し動作,圧縮動作等を行い,関節の変位を求めた.その結果,過去の報告に近い動作が得られたことを確認した.システムの性能が高いことが分かった.ヒト膝関節を用いた実験を行い,膝に前方力が加わった状態では,前十字靭帯内のIntermediate bundleに大きな張力が発生していることがわかった.
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