動物用の高頻度換気用人工呼吸器を開発した。機構は樹脂製ダイアフラムをジェットノズルを用いて作り出した圧により駆動するものである。正常肺ラット5匹を用いたテストでは周波数が増えるにつれて一回換気量が減るものの5Hzから40Hzまで換気可能であることが実証できた。一回換気量はこの研究のために開発した小動物用ボディプレチスモグラフを用いて計測した。性能比較のため市販の高頻度換気用人工呼吸器(メトラン社Humming V)を15Hzで計測した。新開発の高頻度換気用人工呼吸器は市販のものより同一周波数で約50%出力が大きいことが判明した。 次に肺傷害モデルで周波数による影響を検討した。ラットを最高気道内圧38cmH_2Oで換気することで肺傷害を作成した。吸入酸素濃度100%でPaO_2が200mmHg以下になった時点で肺傷害作成終了とし、無作為に2群に分類した。片方の群は周波数を5Hzで換気しもう片方の群は周波数を30Hzとした。両群とも平均気道内圧は15cmH_2Oとし圧振幅はPaCO_2が40mmHgとなるように調節した。平均気道内圧は水を満たしたマノメーターで計測および調節を行った。高頻度換気は4時間行った。一回換気量は5Hz群が平均0.79mLで30Hz群が平均0.29mLであった。4時間後の血液ガスではPaO_2が5Hz群では平均410mmHgであったのに対し、30Hz群では平均200mmHgと有意に5Hz群の方が高値を示した。平均気道内圧が同一であったにもかかわらず血液ガスに差が出た理由としては周波数と流速の影響が考えられるが、換気量から計算した流速では両群に差を認めなかったため周波数の影響と考えられる。高頻度換気は従来周波数が高いほど肺に保護的と考えられてきたが、周波数に大きな差がある場合は、その限りではないと結論できる。 さらに二酸化炭素分圧の影響を調べるため周波数15Hzで検討を行った。肺傷害は気管内塩酸注入で作成した。目標PaCO_2を40mmHgと80mmHgの2群に分けて血液ガス、組織、気管支肺胞洗浄液のサイトカインを検討したが差を認めなかった。
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