研究課題/領域番号 |
15591628
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西村 匡司 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (10172701)
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研究分担者 |
内山 昭則 大阪大学, 医学部附属病院, 助手 (00324856)
藤野 裕士 大阪大学, 医学部附属病院, 助手 (50252672)
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キーワード | 呼吸不全 / 人工呼吸 / 医原性肺損傷 / 換気モード / 吸気流速 |
研究概要 |
医原性肺損傷をウサギ(平均体重2.8kg)で作成し吸気流速の違いがその進展に与える影響を検討した。ウサギを麻酔した上で気管切開を行い、pressure-regulated volume control群(PC群)、Volume control群(吸気時間が呼吸サイクルの20%)(VC_<20>群)、Volume control群(吸気時間が呼吸サイクルの50%)(VC_<50>群)の3群に分け6時間換気した。どの群も1回換気量は医原性肺損傷を作成するために30mL/kgで換気回数は20/分とした。人工呼吸器はSiemens社のServo300を用いた。換気終了後肺を取り出し乾湿重量比、組織の検討を行った。組織学的評価は肺胞の鬱血、出血、好中球の浸潤、硝子膜の形成について5段階に評価しその合計値とした。結果はPC群が他の2群に比べてPaO2は有意に低くPaCO2は有意に高かった(p<0.05)。pHは実験期間中3群とも差は認めなかった。コンプライアンスもPC群は他の2群より有意に低値を示した(p<0.05)。6時間の換気終了後の摘出肺の乾湿重量比は有意に高かった(p<0.05)。PC群の肺は肉眼的にも浮腫、点状出血を示していた。組織学的傷害スコアはPC群が他の2群より有意に高値を示した(p<0.05)。本研究における3群のウサギはいずれも1回換気量は実験開始時点で同一であり、その結果プラトー圧も同一であった。したがって医原性肺損傷の進展には1回換気量や気道内圧以外に早い吸気流速により気管支・肺胞にかかる剪断力も関与していると考えられる。一度できあがった傷害肺に保護的な換気を行う際にも吸気流速が影響するかどうかは別の実験による今後の検討を要する。
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