研究課題/領域番号 |
15591629
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
仁科 かほる 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (20311780)
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研究分担者 |
三川 勝也 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40229662)
森川 修 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (50335436)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | 急性肺傷害 / アポトーシス / 肺胞上皮細胞 / 人工呼吸 / メカニカルストレス / エンドトキシン / サイトカイン / 好中球 |
研究概要 |
急性肺傷害における低酸素血症の対症療法として人工呼吸を行なうがこの人工換気そのものが肺傷害をひきおこしたり既存の肺傷害を増強させることがわかってきた[人工換気誘発肺傷害(VILI)]。本研究ではVILIメカニズムの解明と治療法の開発を最終目標とし、まずはin vitroの培養細胞伸展システムを用いて機械的ストレス(過伸展とシェアストレス)がII型肺胞上皮細胞に与える影響をサイトカインの産生及びアポトーシス誘導の面から評価することを目的とした。分離、培養ラットII型肺胞上皮細胞及びヒトA549細胞を用いエンドトキシンにて刺激し機械的ストレッチの有無により分類し24時間培養した。培養液中のケモカイン濃度をELISAにて測定した。ストレッチそのものによりGRO/CINC-1やIL-8の産生は軽度上昇した。また細胞の機械的ストレッチはエンドトキシンによるGRO/CINC-1及びIL-8の産生増加を亢進した。A549を刺激し24時間インキュベーションしたところnormocapnia(40-45mmHg)に維持した培養液中のIL-8は無刺激群に比較し有意に高値を示した。この系をhypercapnia(70-80mmHg)に維持して行なったところエンドトキシンによるIL-8の分泌がさらに亢進した。培養液をhypercapniaに維持した時は、無刺激でも若干のIL-8分泌を認めた。IL-8のmRNAの発現はエンドトキシン刺激をおこないhypercapniaに維持した群で、IL-8のmRNA発現が最も著明であった。過酸化水素で刺激しない場合、hypercapniaそのものはA549のアポトーシスを誘導しなかった。normocapniaにおいて過酸化水素は濃度依存性にA549のアポトーシスを誘導した。hypercapniaは過酸化水素によるアポトーシス誘導を軽減も亢進もしなかった。本研究によりhypercapnic acidosisはエンドトキシンによる炎症性サイトカインの産生を亢進することがわかった。hypercapnic acidosisという環境は遺伝子の転写レベルにおいてIL-8の産生をup-regulteするものと考えられた。hypercapniaによるものなのかacidosisによるものなのかは今後の検討課題である。臨床的には急性肺傷害時の低容量換気の有用性が報告されているが、低容量換気にともなうhypercapniaは換気回数をあげることなどで補正する必要があるのかもしれない。
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