研究課題/領域番号 |
15591630
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
佐倉 伸一 島根大学, 医学部, 助教授 (80170637)
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研究分担者 |
岸本 朋宗 島根大学, 医学部, 助手 (50284039)
桐原 由美子 島根大学, 医学部, 教務職員 (90234400)
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キーワード | 局所麻酔薬 / 脊髄くも膜下麻酔 / ブピバカイン / レボブピバカイン |
研究概要 |
局所麻酔薬の神経毒性の神経線維選択性に関する研究の第I段階で、われわれはラットクモ膜下腔に投与されたリドカインとブピバカインの神経毒性の比較を行った。そしてその結果、われわれのラットモデルで組織学的検討が可能であること、特に電子顕微鏡下での検討が容易に出来、有髄線維と無髄線維の組織学的な検討が可能であることを発見した。今回は当該研究期間の2年目にあたり、ラセミ体のブピバカインの2つの光学異性体であるレボブピバカインとデキストロブピバカインの神経毒性を下記の方法で行い、光学異性体が神経毒性に与える影響を電子顕微鏡下で有髄・無髄線維ともに観察した。 方法としては、ラットの第4-5腰椎間からクモ膜下カテーテルを挿入した。ラットを無作為に3群に分け、2.5%ブピバカイン、2.5%レボブピバカインと2.5%デキストロブピバカインを毎分2plの速度で1時間持続投与し、4日後にTFテストを施行した。その後、脊髄および脊髄神経根を摘出し、標本を光学および電子顕微鏡で組織学的に評価した。質的評価と共に、既存の神経損傷スコアを用いた定量的評価を光顕下で行った。尚、この実験の前に3種類の局所麻酔薬が等力価であることを証明している。 結果は、3種類の麻酔薬投与後4日目のTF値の%MPEは等しかった。神経根の神経損傷スコアも3種類で等しかった。電子顕微鏡像では、3種類の薬剤を投与された馬尾神経が有髄線維、無髄線維ともに同程度の損傷を受けている所見が認められた。 以上の結果から、等価のラセミ体ブピバカインとその光学異性体のレボブピバカインとデキストロブピバカインの神経毒性には差がないこと、そして3種類の薬剤の神経毒性の影響は有髄線維、無髄線維共に出現することが明らかとなった。
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