研究課題
基盤研究(C)
大分大学医学部に設置されているNMR装置(Bruker社製AMX300WB)を用いて、ラット全脳スライス標本から高エネルギーリン酸スペクトルを長時間(約12時間)にわたり測定している。脳虚血時には低酸素、好気的糖代謝障害によるATP枯渇、そして細胞内アシドーシスが生じている。細胞内アシドーシスは虚血後の一病態として重要であり、この病態のメカニズム解明は、脳虚血耐現象メカニズムの解明に役立つと考えられる。現在、高炭酸ガス環境下で全脳スライスを細胞内アシドーシスで前処置した後に、2回目の高炭酸アシドーシスを負荷した状態で、高エネルギー酸化合物のクレアチン燐酸(PCr)、ATP濃度低下が防げるかどうかを現在検討している。二酸化炭素は細胞膜を容易に通過して重炭酸となり細胞内pHを低下することが知られている。灌流人工髄液内のCO_2分圧を5%(細胞外pH=7.4,細胞内pH=7.3)から40%(細胞外pH=6.7,細胞内pH=6.6)まで低下させた場合、PCrはpHi 6.9までは正常時の80%を維持したが、pHi 6.9以下ではPCr低下が著明になった。pHiを前もって1度低下させておくと、再度pHiが6.4〜6.6まで低下した際のPCrの低下が抑制された。7回の結果から、虚血前負荷と同様に、高炭酸アシドーシス前負荷ラット全脳スライスにおいては、引き続く高炭酸アシドーシス時に高エネルギー燐酸の低下を防ぐメカニズムを獲得した事が示唆された。
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