研究概要 |
研究計画の初年度は,モルモットを麻酔下に気管切開し,人工呼吸下に気道抵抗測定器Pulmos IIで気道抵抗を測定した.正常のモルモットにムスカリン受容体刺激薬アセチルコリンを投与することにより,正常の気道抵抗の上昇曲線を作成した.一方,アルブミン抗原(ovalbumine)を曝露して喘息モデルを作製し,さらに主流煙たばこ曝露器でたばこ煙をモルモットに長期曝露することにより,たばこ誘発性気道過敏性モデル(たばこモデル)を作製した.それぞれのモデルが気道過敏性が亢進していることは,アセチルコリンあるいはアルブミン抗原を再曝露し,正常よりも気道抵抗曲線が左方移動することで確認した.喘息モデルが適切であることは,病理学的にも検討する予定である.たばこモデルあるいは喘息モデルを組み合わせる,あるいはさらに長期に曝露することにより慢性閉塞性肺疾患モデルが作製できないかどうかも検討中である.現在,臨床的に強力な気道平滑筋弛緩作用をもつ吸入麻酔薬が,このモデルにおいてもその作用を発揮するかどうかを検討している.また,現在β_1受容体選択性拮抗薬が2種類臨床使用可能であるが,本モデルに適応することにより,果たして気道過敏性の亢進した患者に臨床使用かどうかを検討している.さらに,α_2受容体刺激薬が集中治療管理下の鎮静薬として使用可能であるが,これについても検討を加えている.本モデルの摘出気道平滑筋組織においても気道過敏性が亢進していることを確認しており,次年度はさらに細胞レベルでの過敏性の亢進作用ならびに周術期に使用する麻酔薬等の安全性について検討を加える予定である.現在までの研究成果は,2004年10月に行われるアメリカ麻酔科学会で発表する予定である.
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