研究概要 |
今回我々は、ラット脊髄虚血モデルにおいて、選択的デルタオピオイドアゴニスト(SNC80)のくも膜下投与が、脊髄虚血後の神経障害を対して保護作用を、常温及び軽度低体温下で検討した。350-450gのSDラットを用い、くも膜下腔カテーテルの留置及び脊髄虚血を施行する。くも膜下腔カテーテルの留置は、イソフルラン麻酔下で頚椎間を顕微鏡下で切開し、PE10カテーテルを8cm挿入する。4-7日後、神経障害がないのを確認し、脊髄虚血を作成する。脊髄虚血は2Frフォガティーカテーテルを大腿動脈から下行大動脈まで挿入し、また、中枢側血圧は抜血により低血圧を維持する。選択的デルタオピオイドアゴニストとしてSNC80(Sigma, USA)を虚血15分前にくも膜下に投与した。軽度低体温との相互関係を検討する為、常温群と35℃の軽度低体温群で、SNC投与群及びvehicle投与群を作成した。再還流48時間後に運動機能としてBBB locomotion test(0-21点法)を判定。組織学的評価は、第4腰髄のパラフィン切片を作成し、HE染色を施行し、灰白質及び白質の傷害を評価した。常温群ではSNCは運動機能、灰白質及び白質の傷害を軽減した。軽度低体温群では運動機能や灰白質傷害への保護効果は経度であったが、白質傷害については軽減した。常温及び軽度低体温下ではSNC80の灰白質・白質傷害への効果は異なることが示唆された。
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