研究課題
基盤研究(C)
本研究では、これまで確かめてきたミトコンドリア膜電位のOGD後の動態とその後の細胞死の形態についてさらに検討を進めた。その結果、短時間の実験的虚血後にみられるミトコンドリア膜電位がapoptosisの発生と関連することを示すことができた。この一過性の過分極状態とapoptosisとの関連をTUNEL法で検討したところ、24時間後にTUNEL陽性細胞が多く見られ、過分極を示すものの一部はapoptosisへ至ることが確認された。また、脱分極を起こしたままのものは、生理活性を失い、(急性の神経細胞死)necrosisへ至ることが示された(BrainRes 2004)。さらに、治療法の開発への手がかりをつかむため、静脈麻酔薬プロポフォールのMMPに対する効果、高エネルギー物質の消費に対する効果を検討した。その結果、1.0μMpropofolにより、900GDによる急性の神経細胞死を抑える作用が観察された。しかし、24時間後に観察されるapoptosisの発生には影響を及ぼさず、apoptosisの発生はpropofolにより抑えられないことが観察された。ATP含有量は、300GD,900GDにより段階的に減少することが観察されたが、propofolによりその含有量の減少を抑えることはできなかった。したがって、急性の神経細胞死の抑制効果は、エネルギー消費を抑制することではなく、他の原因、free radicalに対する作用などが考えられた。ミトコンドリア膜電位に対しては、有意な差は認められず、300GDでは、propofolの負荷の有無によらずに過分極が認められ、これらは、24時間後のapoptosisが多く認められた。以上の結果より、propofolは、急性の神経細胞死を抑え、神経細胞死を遅らせる効果があり、therapeutic windowを提供すると考えられた。
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Brain Res 993
ページ: 140-145
Brain Res. 993
Focus in Neurochemistry Research Nova Science Publishers.Inc.NY USA (in press)
Focus in Neurochemistry Research (Nova Science Publishers, Inc. NY USA) (Accepted for publication)(in press)