研究課題/領域番号 |
15591659
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
松本 晶平 東京医科大学, 医学部, 講師 (30256250)
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研究分担者 |
渡辺 泰雄 東京医科大学, 医学部, 助教授 (70183720)
一色 淳 東京医科大学, 医学部, 教授 (60074796)
室園 美智博 東京医科大学, 医学部, 助手 (70276947)
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キーワード | 脳虚血 / 吸入麻酔薬 / イソフルレン / PKCγ / CaMkIIα / トランスロケーション |
研究概要 |
麻酔薬の脳保護作用がどのような情報伝達系を介して行われるのか、脳細胞にユビキタスに存在するプロテインキナーゼの変動を測定することにより解明するのが、本研究の目的である。本年度の研究は、まず実験モデルであるマウスの種頼を特定するため数種類のマウスで基礎実験を行い、C57/blackが最もイソフルレン麻酔導入から正向反射消失時間が短いことを確認した。C57/blackマウスを用いて、断頭虚血モデルを作成し、イソフルレン1MAC、2MACにおけるプロテインキナーゼCγ(PKCγ)、カルシウムカルモデュリン依存性プロテインキナーゼIIα(CaMKIIα)の細胞質から細胞膜特にシナプス部位へのトランスロケーションを測定した。1MAC、2MACのイソフルレンは、PKCγのトランスロケーションには影響を与えないが、CaMKIIαのトランスロケーションを有意に抑制した。なお、虚血時間は2分間で、5分間の虚血では残念ながら有意な差を見いだせなかった。そこで、虚血時間を新たに3分と5分に設定し、ウェスタンブロットのタンパク量を増やして、別の実験群で行った結果、CaMKIIαのトランスロケーションは、3分、5分共に有意に抑制された。この結果と、我々の過去の知見から、イソフルレンはCaMKIIαのTh286のリン酸化を抑制することで、CaMKIIαのトランスロケーションを抑制し、脳保護作用をもたらすことが考えられた。さらに吸入麻酔薬をセボフルレンに変更して同様の実験を行った。虚血3分においてセボフルレンはイソフルレンと同様にCaMKIIαのトランスロケーションを抑制したが、5分虚血では有意差が得られていない。さらにnを増やして実験を続ける予定であるが、今のところ、セボフルレンに比べ、イソフルレンの方がCaMKIIαのトランスロケーション抑制効果が強いと言えそうである。
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