研究課題/領域番号 |
15591661
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
小森 万希子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60178332)
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研究分担者 |
尾崎 眞 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30160849)
冨澤 康子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00159047)
高田 勝美 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (20075609)
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キーワード | アナフィラキシーショック / Urinary Trypsin Inhibitor / REC法 / 微小循環 / 血流量 |
研究概要 |
各種ショック時には、ライソゾーム膜が破壊され、種々の蛋白分解酵素が血中に放出され、循環系の異常だけでなく、組織の微小循環障害ならびに各種代謝異常を伴う全身反応が起こる。Urinary Trypsin Inhibitor (UTI)は蛋白分解酵素の阻害作用を有し、抗ショック作用がある。今回は家兎の全身型凝集性アナフィラキシーモデルを用いて、UTIを投与後に、循環抑制、気管支痙攣および微小循環障害を観察し、その有効性を検討した。<方法>ウサギにウマの血清を皮下注し、2日後に静注する。アナフィラキシーの感作が成立している14日後にウマの血清を静注してアナフィラキシーを惹起させる。対象は耳介に透明窓(Rabbit Ear Chanber : REC)を装着した家兎46羽を用いた。RECを生体顕微鏡下に固定し、血管径20-100μmの細動脈を選び顕微鏡用ビデオカメラで記録、観察した。気管内挿管後に従量式人工呼吸器で換気した。アナフィラキシー惹起1分後に生理食塩水を投与した群(C群)とUTIを50,000単位/kg投与した群(U1群)UTIを150、000単位/kg投与した群(U2群)に無作為に分け、アナフィラキシー惹起後45分にわたり気道内圧、心拍数、動脈圧、中心静脈圧、尿量ならびに細動脈の血管径と血流速度を測定した。血流量は、血流速度×血管の断面積より算出した。<結果>生存率はC群で59%、U1群で70%、U2群で76%であった。生存率はUTI投与群で有意に高かった。気道内圧はC群で145%、U1群で120%、U2群で113%の上昇が見られた。U群で有意に上昇の程度が抑制された。細動脈の血管径はアナフィラキシー惹起前を100%とすると、C群では20%にU1群では43%に、U2群では80%になった。血流速度、血流量も同様の傾向を示し、UTI投与群では有意に細動脈の血流が維持された。尿量はU群で有意に多かった。UTIは家兎の全身型凝集性アナフィラキシーにおける微小循環の維持および気道収縮に有効であり、生存率も高かった。ショックの治療の開発のためにこの研究をさらに進めたい。
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