研究課題/領域番号 |
15591682
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
成田 充弘 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (00263046)
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研究分担者 |
岡本 圭生 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (50303780)
岡田 裕作 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20127062)
坂野 祐司 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (00346016)
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キーワード | 精巣腫瘍 / メチル化 / XIST |
研究概要 |
本研究課題ではヒト精巣腫瘍におけるDNAメチル化の特性を明らかにし、将来的なDNAマーカーとしての応用や、化学療法感受性との関係を知るための基礎実験を展開した。 すなわち、本研究により精巣腫瘍においては本来女性の体細胞固有に存在するX染色体不活化因子(XIST)が発現しているにも関わらず、女性のXIST発現とは異なりアンドロゲン受容体(AR)、脆弱X症候群原因遺伝子(FMR-1)、Simpson-Golabi-Behmel症候群原因遺伝子(GPC3)といったX-linked geneの不活化やメチル化にはつながっていないことを見出した(J.Urol 2003)。すなわち精巣腫瘍で染色体付加の高頻度であるX染色体ではXISTの発現にも関わらず、Hypomethyltionで活性型Xであることを証明した(J.Urol 2003)。さらに精巣腫瘍は通常の体細胞由来の固形癌で近年数多く報告されているCpG islandsでaberrant methylationによる遺伝子不活化がほとんどみられないが、体細胞由来である精巣悪性リンパ腫では比較的高頻度にaberrant methylationがみられることを報告した(Genes Chromosome Cancer 2003)。 これらのデータより、われわれは精巣腫瘍ゲノムが恒常的に低メチル化に維持されている可能性があると考えた。しかしながら、このことは精巣腫瘍において異常なメチル化遺伝子を見出し、特異的メチル化DNAマーカーを作成することが困難であることを意味するものである。 われわれは逆に精巣腫瘍にみられる低メチル化を利用してDNAマーカーを作成出来ないかと考え、精巣腫瘍で発現のみられるXIST遺伝子自身のDMR領域に注目することにより、本来女性にしか存在しないXIST遺伝子の非メチル化DNA断片が精巣腫瘍組織および精巣腫瘍患者血清中に検出されることを証明した(Lancet 2004)。
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