研究課題
基盤研究(C)
本研究課題では精巣腫瘍が他の体細胞由来の固形癌とは異なり、低メチル化というユニークなエピジェネティックDNAプロフィールを有することを明らかにした。また精巣腫瘍の低メチル化DNAプロフィールを利用して新規DNAマーカーを作成することを試みた。本研究課題の具体的な成果は次の通りである。すなわち、精巣腫瘍においては本来女性の体細胞固有に存在するX染色体不活化因子(XIST)が発現しているにも関わらず、X-linked geneの不活化やメチル化にはつながっていないことを見出し、精巣腫瘍で染色体付加の高頻度であるX染色体ではXISTの発現にも関わらず、Hypomethyltionで活性型Xであることを証明した(J.Urol 2003)。さらに精巣腫瘍は通常の体細胞由来の固形癌で近年数多く報告されているCpG islandsでaberrant methylationによる遺伝子不活化がほとんどみられないが、体細胞由来である精巣悪性リンパ腫ではいくつかの癌関連遺伝子プロモータでaberrant methylationがみられることを報告した(Genes Chromosome Cancer 2003)。これらのデータより、われわれは精巣腫瘍ゲノムが恒常的に低メチル化に維持されている可能性があると考えた。しかしながら、このことは精巣腫瘍において異常なメチル化遺伝子を見出し、特異的メチル化DNAマーカーを作成することが困難であることを意味するものである。われわれは逆に精巣腫瘍にみられる低メチル化を利用してDNAマーカーを作成出来ないかと考え、精巣腫瘍で発現のみられるXIST遺伝子自身のDMR領域に注目した。その結果、本来女性にしか存在しないXIST遺伝子の非メチル化DNA断片が精巣腫瘍組織および精巣腫瘍患者血清中に検出されることを証明した(Lancet 2004)。またCTA遺伝子群での精巣腫瘍のメチル化プロフィールについても明らかにした(Genes Chromosome Cancer 2005)。精巣腫瘍の低メチル化維持機構については現在、始原生殖細胞との比較を行いながら研究を進めているところである。
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