研究概要 |
前立腺癌細胞株、骨芽細胞株を用いたヌードマウス皮下移植モデルの確立 骨転移巣由来ヒト前立腺癌細胞株MDA PCa2b、ヒト前立腺癌細胞株LNCaP単独またはマウス骨芽細胞株MC3T3-E1との共培養による皮下移植モデルを確立した。 前立腺癌細胞におけるNF-κB、アンドロゲンレセプター(AR)、SRC-3発現の検討 LNCaP、MDA PCa2b、PC-3細胞のヌードマウス皮下移植モデル、前立腺全摘除標本(術前ホルモン療法有または無)、再燃症例における前立腺標本を用いて、NF-κB、AR、SRC-3の発現を免疫組織化学染色により検討した。NF-κBは癌組織で高発現し、その局在は主に細胞質であったが、一部の癌細胞では核にも発現を認めた。前立腺全摘除標本における癌細胞においてARとSRC-3の発現レベルは相関していた。 前立腺癌細胞の骨芽細胞に対する作用 前立腺癌細胞(LNCaP、MDAPCa2b、DU145、PC-3)の培養上清が骨芽細胞(MC3T3-E1)に作用し、破骨細胞誘導因子の産生能を高めた。この破骨細胞誘導因子の1つはNF-κBの活性化に関与するRANKLであった(Cancer letter印刷中)。 前立腺癌患者における血清IL-6、TGF-b1、IL-8、VEGF、PDGF-BBの検討 前立腺癌患者の血清IL-6、TGF-b1、IL-8、VEGF、PDGF-BB、PSA値の推移を比較検討した。IL-6は再燃癌治療後のPSAの推移と相関し、病勢進行と共に上昇したが、TGF-b1はPSAの推移と相関せず、病勢進行と共に下降した(第93回日本泌尿器科学会発表予定、第96回米国癌学会発表予定)。IL-8、VEGFについては、病勢進行と共に上昇する傾向を認めたが、病期とは相関しなかった。PDGF-BB補正値(血小板数で除した値)は前立腺癌患者で高値であった(第63回日本癌学会発表)。 NF-κB阻害剤の抗腫瘍効果 NF-κB阻害作用をもつMG132は、前立腺癌細胞LNCaP, DU145,PC-3の増殖を抑制した。
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