研究概要 |
我が国や欧米諸国では、10組に1組が不妊症に悩まされており、その半数が男性不妊症によるものであるが、その大部分が原因不明である。更に、高齢少子化に向かう我が国では、不妊の問題はその根本的解決策にとっても大きな障害の一つとなる。 我々は、1)80種以上の精子細胞特異的遺伝子をクローニングし、これら遺伝子の機能解析を進めている。今回我々のクローニングした80種の遺伝子を、ヒトゲノムDNAシークエンスデータベースで解析した。この遺伝子群及び、すでに公表された精細胞特異的遺伝子の中で、イントロンを含まない、もしくは染色体上の小さな領域に局在する遺伝子15種についてヒトゲノムDNAからPCR法を用いて直接、DNA一次構造を決定できるプライマーを設定した。 (2)インフォームドコンセントを得て収集した男性不症患者の血液300例、妊よう性の確認されたボランティアの男性300例の血液からゲノムDNAを抽出した。(ここでもちいる血液DNAの情報が外部に漏れ出すことはないように厳重に保管し、またデータから個人の特定はできない。) (3)血液DNAサンプルからのダイレクトシークエンス法によって、15種類の精子細胞特異的遺伝子についてSNPs解析を行い、精子の核の凝縮に重要であるProtamine 1,2、Transition protein 1,2および精子細胞の代謝に重要であると考えられるSCOT-t遺伝子と男性不妊症の関係について解析を行い、日本人男性における、SNPs、DNA変異と、男性不妊症関連遺伝子を見つけだした。
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