研究概要 |
慢性移植腎症と関連のある急性拒絶反応(AR)の診断、治療効果を組織学的に判断することは困難な場合があり、特異的なマーカーを見出すことが望まれる。我々はヒト移植腎生検の余剰分の凍結標本のうちARと診断された標本からマイクロダイセクション法を用いて尿細管間質からRNAを抽出しcDNAマイクロアレイ法により解析した。実際にはARと診断された標本とコントロール標本をOCT compoundで凍結させ10μmで薄切し、70%エタノール固定した。次にlasercapture microdissection system(LM-2,Arcturus社)を用い、尿細管部位をmicrodissectionした。採取した組織よりtotal RNAを抽出した後、RNA pico chipsを用いてその質と量を確認した。微量RNAをT7 RNA polymerase-mediated cRNA amplificationとadapter ligation-mediated PCRを組み合わせることによりngオーダのRNAを増幅、十分量のcRNAを得ることができた。(TALPAT法)。得られたcRNAをビオチンラベルし、fragment後DNA chip(Human genome U133 Plus 2.0 array : Gene数54675)にhybridizationしAffymetrix Gene Tipsystemで個々の遺伝子発現シグナルを検出した。データの解析はGene Springを用いた。Normalization後present or marginalでfilterをかけると15742遺伝子が検出された。2倍以上は253遺伝子あった。以上のように移植後腎生検組織より得られた拒絶反応の部位に特異的な遺伝子発現解析をGene tipを用いた網羅的解析により行うことを可能とした。
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