研究課題/領域番号 |
15591717
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
石田 英樹 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60246543)
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研究分担者 |
東間 紘 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90075549)
田辺 一成 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80188359)
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キーワード | CD15s抗原 / 血液型不適合腎移植 / 異種移植 / 免疫抑制剤の調節 |
研究概要 |
われわれは、腎臓移植後に急性拒絶反応となった患者のリンパ球上に接着因子の1つであるCD15s抗原が表現していることを発見した。拒絶反応は一種の炎症反応でありこのような糖鎖抗原の発現によって患者血清中には新たな抗糖鎖抗体の出現をもたらし、抗原抗体反応の連鎖反応によってさらなる拒絶反応の悪化をもたらすことが考えられる。特に1989年から本施設で施行されているような血液型不適合の腎臓移植は通常では考えられないような自己と異なる血液型を移入される異型輸血のようなモデルであり、血液型不適合移植を成功させるには、術前における患者体内の抗体の除去などさまざまな免疫抑制の調節が必要である。1989年から今までにおける不適合移植患者で急性拒絶反応から移植腎喪失となった患者の保存血清を使用して実験を行った。裏面の報告のごとく、拒絶を受けて移植腎臓が喪失した患者の血清中には通常の2倍から3倍の抗糖鎖抗体が産生されていた。この抗体は従来のヒトの血液型であるA型、B型のいずれにも反応しうる抗体でありその反応性はポリクローナルであった。このようなポリクローナルな抗体の産生が拒絶反応の連鎖反応に悪化する可能性があり、移植術前には抗体特異的な吸着法ではなく、血漿交換などの使用によって、より広範囲な抗体除去が拒絶反応の回避さらには移植腎臓の正着延長につながると考察される。現在このような抗体が移植後に出現してくる時期、および免疫抑制剤の減量の時期との関連性に解析をくわえ検討をしている。
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