研究概要 |
ヒト未熟卵胞の凍結保存法の確立、凍結融解後の未熟卵胞(原始卵胞、一次卵胞)の体外培養系を確立することを目的とし、本年度は、体外受精時に受精の認められなかったヒト未受精卵を用いvitrificationの有用性に関し検討した。 1)ガラス化液として10%EG含有PBS液で10分間前処理後、15%EG+15%DMSO+0.5M sucrose含有PBSに浸積しクライオトップを用いて急速凍結を行った。融解後の生存率は約80%、その後の胚発育も観察され、vitrificationによる未熟卵胞凍結保存の可能性が示唆された。 2)受精に関する基礎的研究として、ヒト精子形成に関与する遺伝子を解析した。現在のところOPPO1,TISP50,15,43遺伝子がヒト精巣に特異的に発現し、精子形成に関与す可能性が示唆された。 3)受精後の卵子活性化に関し基礎的研究を行い、ヒト卵子はカルシウムイオノフォア+puromycinにより高率に活性化が誘起され、前核形成までに要する時間は通常の受精と同程度であることを明らかにした。 3)受精時の、卵細胞膜と精子の相互作用の観点から卵細胞膜のインテグリンに関し検討した結果、卵細胞膜のインテグリンは精子の結合・融合には必須でないこと、さらに、テトラスパニンfamilyが精子と卵細胞膜の結合に関与することを明らかにした。
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