臨床試験審査委員会の承認のもとでインフォームド・コンセントを得た満期の予定帝王切開において卵膜を採取し本研究に用いた。 トリプシン処理により羊膜上皮細胞を得て初代培養を行い、この細胞が、細胞密度に依存してアクチビンAを分泌することを明らかにした。このアクチビンA分泌は、腫瘍壊死因子(TNF-α)により用量依存的、時間依存的に増加すること、TNF-αによるアクチビンA分泌促進作用は抗TNF-α抗体の同時添加により打ち消されることを明らかにした。また、グラム陰性菌菌体成分のLPSによっても、この細胞からのアクチビンA分泌は用量依存的、時間依存的に促進された。従って、絨毛膜羊膜炎においては羊膜局所でアクチビンAが高濃度になっていると考えられた。このため、アクチビンAの羊膜上皮細胞に対する作用を明らかにすることを目的として、羊膜上皮細胞の増殖に対する作用を検討したが、添加濃度10-100ng/mlでfomazan dye生成を指標としたcell counting Kit-8を用いたアッセイでは、アクチビンAによる細胞増殖に対する作用は検出されなかった。 トリプシン処理後の羊膜に対して、Sakuragawaらの報告に基づき、コラゲナーゼを作用させることにより羊膜間質細胞を得た。この細胞が幹細胞を含む可能性が報告されているため長期培養を行なった。羊膜上皮細胞と異なりこの細胞は継代培養、長期間の培養が可能であった。 更に、細胞間相互作用が生理的条件に近い状態で保たれていると考えられる羊膜器官培養を行ったが、アッセイ間変動が大きく、この器官培養法は本研究に用いる系には適さないと判断された。
|