本研究は、胚着床から妊娠成立までの一連の過程でペプチダーゼが具体的にどのような役割を担っているのかについて、生理活性ペプチドと内分泌・免疫の連関を中心に検討するものである。 1)A-LAPの卵巣における発現と局在の検討 脂肪細胞由来ロイシンアミノペプチダーゼ(A-LAP)は我々が研究を続けている胎盤性ロイシンアミノペプチダーゼ(P-LAP)と共通性の高いペプチド分解酵素である。前年度の研究実績に卵巣における局在データを加えて別項のように雑誌掲載予定である。 2)卵巣におけるAngIIによるVEGFの誘導についての検討 卵胞発育や黄体形成において血管新生が著しい卵巣におけるAngIIによる血管内皮増殖因子(VEGF)の誘導を検討している。本年度は、月経周期全般におけるAngIIやその合成および分解酵素とVEGFの局在を近傍切片において比較検討して別項のように雑誌掲載予定である。 3)オキシトシンによるプロスタグランディンE2誘導制御についての検討 Ishikawa cellを用いて、オキシトシンによるプロスタグランディンE2が誘導される際に、プロゲステロンとともにP-LAPがこれを制御していることを証明し、別項のように雑誌に掲載された。 4)CD26/ジペプチジルペプチダーゼIVと着床についての検討 CD26を強発現させた細胞株では、胚着床が促進すること、そして胚盤胞にはCD26のリガンドであるフィブロネクチンが発現していることを証明し、別項のように雑誌掲載予定である。
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