研究概要 |
1.子宮頸癌におけるAminopeptidase A(APA)の発現調節と機能解析 (1)子宮頸癌細胞株において、血管収縮性ペプチドであるAngiotensin II(AngII)が、そのタイプ1受容体を介して細胞浸潤およびVEGF分泌を促進し、AngIIが子宮頸癌の進展において促進的に働くことを見い出した。(Am J Obstet Gynecol, in press) (2)次に子宮頸癌細胞と正常子宮頚部の線維芽細胞とを共培養する実験系において、頸癌細胞におけるAng II分解酵素APAの発現が誘導されること、さらに頚部間質由来のVEGFを含む液性因子によってAPAの発現が促進されることを見い出した。(LabbInvest, in press) (3)子宮頸癌細胞にAPAを過剰発現させると、その増殖には変化がないがAngII依存性の細胞浸潤が抑制される事を見い出した。(Lab Invest, in press) (4)上記のAngIIとその分解酵素による浸潤や血管新生の調節機構が、卵巣癌にも存在するかを同様の実験系を用いて現在検討中である。 2.絨毛癌の増殖、浸潤における細胞表面ペプチダーゼの役割 (1)絨毛癌細胞においてAngIIにより細胞増殖が促進され、その作用はタイプ1受容体および細胞内のPKC/MAPK依存性シグナル伝達を介すること、また同時にAPAが誘導され、AngII/APAシステムによる絨毛癌増殖の調節機構の存在が示された。(J Clin Endocrinol Metab 88:3973-3982,2003) (2)胎盤形成過程において母体筋層へと浸潤する絨毛外トロホブラストにOxytocin分解酵素であるPlacental leucine aminopeptidase(P-LAP)が発現していること、さらには絨毛癌の浸潤部や転移病巣内の腫瘍性トロホブラストにP-LAPが強発現し、浸潤の制御にかかわっていることを発見した。(Lab Invest 83:1799-1809,2003)
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